定電流陰極チャージ下での低合金鋼の水素侵入挙動に及ぼす チオシアン酸アンモニウムの影響

 チオシアン酸イオン(Thiocyanate ion,SCN-)は鉄鋼材料への水素侵入を促進する水素侵入促進剤(poison)の一種である。特にチオシアン酸アンモニウム(NH4SCN)は扱いが容易で水素侵入促進効果が大きいことからプレストレストコンクリート鋼(PC鋼)の水素脆化感受性評価試験であるFIP試験(Fèdèration Internationale de la Prècontrainte)1) をはじめ広く採用されている。

 水素侵入促進剤の作用機構に関して,水素原子の脱離抑 制・表面被覆率増大説あるいは,水素-金属間の結合エネルギー低下説の二つが報告されている2) 。例えばAndo and Yamakawa3)は硫黄化合物,シアン化合物およびヒ素化合 物が水素ガスの脱離反応を抑制し,吸着水素原子濃度を高めることで水素侵入を促進すると報告している。また, Bockrisら4) は水素侵入促進剤により水素原子と金属の結 合エネルギーが低下し,水素の侵入効率が上昇することで水素侵入が促進されるメカニズムを提唱している。水素原子と金属の結合エネルギーが低下する要因としては1) 水素侵入促進剤と水素化物イオンH-の電気化学的相互作用,2)水素侵入促進剤と金属のd軌道原子との相互作用, および3)水素発生反応サイトへの水素侵入促進剤の優先吸着等が挙げられているが,未だ明らかになっていない4) 。

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Author: castage

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