新潟県内で再生可能エネルギーや天然ガスなどから水素を製造し、燃料電池車(FCV)などに使う「水素サプライチェーン(供給網)」の構想をつくるために、県は9日、新潟市中央区で行政や企業の関係者らによる策定委員会の初会合を開いた。液化天然ガス(LNG)の輸入港湾や離島を抱える本県の特性を生かし、水素の地産地消を進める方策を探った。
県内ではFCVに水素を補給する水素ステーションが4月、新潟市内にオープンし、水素エネルギーの利用が始まった。県は本年度、FCVを導入し、小型燃料電池バスの運行を検討する専門家らによる会議も設置するなど、水素エネルギーの利活用を進めている。
水素の供給網構想を策定する委員会の開催もその一環。エネルギー関係の企業のほか、国や県、佐渡市や粟島浦村などの行政担当者ら約30人が参加した。
委員会では、県から調査を委託された研究機関が、本県の特色を生かした水素の利活用方法として、離島モデルや、LNG基地を活用した港湾モデル、太陽光発電と水素を絡めた内陸モデルなどを例として提案した。意見交換で、出席者からは「県内の産業振興や環境保全の観点も入れるべきだ」「水素を活用すると暮らしがどう変わるのか、県民への見せ方が重要だ」などの声が上がった。
水素をエネルギーとして使うには、現状ではコストが高いなどの課題がある。委員会では県内の水素の需給状況調査や企業へのアンケートなどを通じ、年度内に構想策定を目指す。