2014 年7 月に国内初の商用水素ステーションが開所1)されて以来、2019 年8 月の時点で移動式も含めて約110 カ所が四大都市圏を中心に全国各地に整備されている2)。2018年7 月に策定された「第五次エネルギー基本計画3)」に基づき、水素エネルギー普及に向けて関連法や規制を見直し、インフラ整備を推進、社会実装していく具体的な政策が示された。水素ステーションは、2020 年度までに160 カ所程度、2025 年度までに320 カ所の整備拡大を数値目標とし、2020 年代後半までに水素ステーション事業の自立化を目指すとされている。
このような取り組みが進むに伴い、技術研究開発の促進とともに、安全性の確保を目的とした水素ステーションに関連した様々な技術基準が制定されてきた。水素ステーションにおける水素品質管理4)、水素計量管理5)、水素充填性能6)、等を規定した業界自主ガイドラインが発行されてきている。
水素計量管理では、燃料電池自動車(FCV)ユーザーの保護及び水素ステーション事業者による自主的な適正計量の確保を目的として、日本工業規格JIS B 85767)が2016 年5月に制定された。その後、上記JIS 規格と技術実証データに基づいて、国際法定計量機関の勧告文書OIML R 1398,9)が改定された。
筆者は、平成25 年度からNEDO 水素利用技術研究開発事業で水素ステーションにおける水素計量管理方法に関する研究開発10)や平成28 年度から経済産業省工業標準化推進事業9)に参画し、前述の業界自主ガイドライン等の発行に携わってきた。
本解説では、水素ステーションにおける計量管理に関するガイドラインや規格等の技術的根拠となっている水素計量性能管理技術とその現状について紹介する。
