目の印象は対人の認知プロセスの中で非常に大きな要素となっていることがしられており1),アイメイクは印象を向上するために重要な役割を果たしている。一方で,目周りはくすみ,たるみ,しわなどの加齢変化が起こりやすく悩みの多い部位でもある。20~60 代の日本人女性114 名に自身の顔写真を見せ,悩みのある部位をあげてもらうと,顔全体の部位の中で目周りの悩みが最も多くあげられた。具体的には,くま,くすみ,シミ,しわ,たるみに関する悩みであり,若年層では主にくまとくすみ,加齢に伴いしわ,たるみ,くすみの悩みが多くなる傾向を示した。
なかでも加齢に伴うしわとくすみは見た目の年齢に与える影響が大きいため,消費者の関心が高い悩みである2)。
これまでに,加齢により変化した肌を,メイク製品によって美しく見せる方法がいくつか提案されている。たとえば加齢した肌のくすんだ印象は全光反射率の減少によるものであるため3),パール剤や油剤により全光反射率を向上させる,すなわちツヤを与えることが効果的とされている4)。しかし,目周りは立体的な形状で,しわや二重の溝などの細かな凹凸があり,さらにまばたきにより激しく動くという,顔の中でも他の部位と異なる特徴がある。その凹凸の影響で,パール剤によるツヤの付与では,板状粉体であるパール剤が凹凸に沿って付着するため,逆に凹凸を強調し,しわを目立たせてしまう問題があり,一方油性製剤によるツヤでは,塗布直後は表面がフラットなツヤが得られるがその強度は弱く,さらに瞬きにより容易に二重やしわの溝に落ち込み,その状態が維持できないという問題があった。
この問題を解決するには凹凸をフラットにできる油性製剤においてツヤ感をより高めることと,瞼の激しい動きに耐えられる弾力性のある化粧膜を得ることが必要であると考えられた。