α+β型Ti-6Al-4V合金の水素化物の析出挙動

 α+β型のTi-6A1-4v合金は,溶接欠陥あるいは機械加工きず等によって鋭い切欠を有する場合,大気中および水素雰囲気中において残留応力等の引張応力が負荷されると,水素誘起割れによる遅れ破壊が生じる(1)一(3).この水素誘起割れは,水素化物(ハイドライド)が重要な役割を演じているとされている(4)(5).しかしながらTi合金の水素誘起割れ破面およびその近傍に存在していると考えられている水素化物は,未だ検出されていない.これは水素化物の析出量が少なく,しかも非常に薄いためと考えられている(6)(7).  水素を添加したα+β型Ti合金の固溶水素の問題に関しては内部摩擦(8)(9)およびX線回折(10)によって検討され, 水素化物の観察は,Boyd(11)はじめHammondら(12)によって行なわれている.しかしながら破面近傍のように表面近傍に水素濃度分布が生じている場合の水素の固溶および水素化物の析出挙動について,X線回折および内部摩擦測定の両面から,比較検討された報告はほとんどない.

 本研究は,拡散係数:および固収量が異なるα相およびβ相の2相組織における水素誘起割れの機構を検討する上で重要な,外部からの水素の侵入,固溶および水素化物の析出状況を検出し把握する事を目的とした.すなわち陰極電 解法を用いて,各種の電流密度で水素を添加し,X線回折および内部摩擦測定によって水素の侵入,固溶および水素化物の析出状況を検出し,両手法の特徴を比較検討するとともに,水素化物の析出状況を薄膜による透過電子顕微鏡 観察によって調べた.

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Author: castage

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