大気中粒子態及びガス態多環芳香族炭化水素類の動態解析 -東広島市における濃度,分配,季節変動について

 石炭・石油などの化石燃料や木材の不完全燃焼,自動車排出ガスなどから発生する多環芳香族炭化水素(Polycyclic Aromatic Hydrocarbons:PAHs)はベンゼン環を2個以上持つ化合物の総称である.PAHsは発ガン性/変異原性を示すものも多く,大気中で気体状(ガス態)あるいは微粒子に付着した状態(粒子態)で存在していることが知られている1-17).PAHs の中で分子量が大きい 5,6 環の物質は,その物理化学的性質(低い蒸気圧)から主に粒子態で存在するのに対して,4 環以下のPAHsは通常の環境では一部もしくは大部分がガス態で存在しており粒子態との間で平衡状態にある.

 粒径 10 μm程度の粒子は吸入時において大部分が鼻・喉・咽頭部領域などで除去されるのに対して,2 µm 以下の微小粒子は呼吸器に沈着する率が高いため,大気微粒子に付着した PAHs による人体影響の評価のためには,全濃度だけでなく粒径別測定が必要である.一方,蒸気圧の高い PAHs も気温が下がる冬季ではガス態から粒子態に移る可能性があり,2~4 環のPAHs に対しては,粒子態だけでなくガス態 PAHs 成分の測定も重要である. 発生源対策や健康リスク評価のために浮遊粉塵中そして気体状 PAHs が数多く測定されているが,更にデータの集積が重要である.一方で粒子態PAHs の粒径別測定例はあるが13-16),粒径別粒子態とガス態成分を同時測定したデータは少ない.本研究では,粒子態 PAHs 濃度の粒径分布測定とガス態成分の測定,それらの季節変動,発生源の特定などを検討するため 1 年間の定点測定を行った.

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Author: castage

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