氷および銀表面上での水素分子吸着シミュレーション

固体表面は吸着や拡散,化学反応などの様々な物理現象が起きる場である.天文学などの分野においても,宇宙空間に存在する星間塵表面が分子進化に果たす役割が注目を集めている本論文では宇宙空間での化学反応を理解するための第一歩として, 氷表面上での水素分子の吸着状態に関する理論的研究の成果を紹介する.氷表面上での水素分子の吸着において,水分子が持つ電場が非常に重要な寄与を果たし, ポテンシャル異方性が数十 meV に達することを見出した.一方, 分子性固体である氷表面との比較のため,銀表面上での水素分子の吸着状態を調査したところ, 分散力が支配的であり, ポテンシャル異方性は 5 meV 程度であることを明らかにした.

固体表面は吸着や拡散, 化学反応などの様々な物理現象が起きる場であり, 様々な分野で応用例が存在する. 例えば,水分子と結合を作りやすい親水性の表面を作ることで , 吸着した水が水滴にならず膜状になり, 鏡が曇りにくくなる. 一方, 水が吸着しづらい疎水性の表面を作ることで,傘などに付着した水がすぐに流れ落ちるようにすることができる. また, 活性炭などで空気中の水や悪臭の原因となる物質吸着することにより, 除湿や消臭を行うことができる. 水中の有害物質を吸着材へ吸着することにより, 水の浄化を行うこともある. 望ましくない物質の除去や回収だけでなく, 目的とする物質を吸着させた後に取り出すことにより, 特定の物質を濃縮することも可能である. 例えば, 酸素を吸着しやすい物質を用いて, 酸素濃縮や純酸素の生成などが行われている. これらは吸着材として用いた材料表面への吸着しやすさが物質ごとに異なることを利用している.  吸着した物質は固体表面と化学反応を引き起こすなど, 固体表面を変化させることもある.身近な例として, 大気中や水中で利用されている金属材料における錆や腐食の発生による劣化がある . これらの材料の劣化は, 吸着した酸素や水などが金属材料と化学反応を引き起こし, 金属酸化物や金属水酸化物などの腐食生成物が形成 されるために起こる. また, 火力発電所やごみ処理場などで発生する硫黄酸化物や塩化水素も腐食の原因物質である.

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Author: castage

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