アレーン類の水素化反応による官能基を有する飽和環式化合物の合成

 水素化反応は,有機合成化学において最も基本的な反応の 1 つである。なかでも芳香族化合物の水素化反応は,平面的な芳香族化合物から立体的な飽和環式化合物を与え,医薬品をはじめとする機能性分子構築に向けた有用なビルディングブロック供給の有効な手法である。このような精密有機合成を指向した多官能基化芳香族化合物の水素化反応では,主に 2 つの課題が挙げられる。 1 つ目は,本反応によって生じる新たな不斉炭素中心の立体の制御である 1)。2 つ目は,本反応と併発する還元的な脱離などの官能基の損失につながる副反応の抑制である。そのため,いかに反応性を制御し,立体・化学選択的に反応を進行させるかが懸案であった。本稿では,近年の Zeng や Gloriusらの研究によって達成された, 多様な官能基を有する(ヘテロ)芳香族化合物の高い選択性を伴った水素化反応について紹介する(スキーム 1)。

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Author: castage

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