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氷の表面は、様々な物理・化学現象の場として重要な役割を持つことが明らかになってきている 1)。それらの現象を正確に理解するためには、表面の構造を原 子レベルで精密に知ることが重要である。そのため、 氷の表面構造は低速電子線回折 2)や He 原子散乱 3)などによって調べられてきた。しかし、それらは表面の広 範囲にわたって平均化されており、原子スケールでの構造、特に水素原子の配置についてはいまだ明らかではない。
原子間力顕微鏡(AFM)は試料の導電性を問わず、 表面構造を原子スケールで観察できる。また、表面に存在する水素原子にも敏感である 4)。そのため、絶縁 体かつ表面の水素原子の配置に興味を持たれる氷表面の観察に適した手法である。本研究では、Pt(111)およ び Rh(111)基板上に作成した氷 I の basal 面の高分解能測定を行った 5)。超高真空下で 140 K 程度に保った基板上に H2O を暴露することで結晶氷を作成した後、85 K に冷却して AFM観察を行った。