太陽光による水分解水素製造のための光電極材料の開発に関する研究

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カルコパイライト化合物の一つであるCuGaSe2は、太陽光吸収に適したバンドギャップ(1.68eV)と比較的浅い伝導帯下端エネルギーを有していることから、水の還元(水素発生)やCO2還元などの人工光合成型反応における光電極材料として注目されている。光電極材料としての利用の分野では、Cu(In,Ga)Se2太陽電池と同様に、導電性基板上に成膜された薄膜試料が従来用いられてきたが、われわれは、組成制御や物性評価が行いやすいバルク結晶をベースとして、光電極としての高機能化を図ることに着目した。ここでは、化学量論組成からCu不足側に組成制御したCuGaSe2バルク結晶の合成とそれらの物性評価を行った。石英管中にCu(4N)、Ga(6N)、Se(5N)の原料を真空封入し、垂直電気炉で1150°Cまで昇温したのち、室温まで急冷した。Cu組成を制御するため、Cu/Gaの仕込み組成を0.8〜1.0に変化させた。いずれの仕込み組成の試料でもCuGaSe2を主生成物とする回折パターンが観察された。仕込み組成が化学量論組成の試料では、CuGaSe2に加えてCuSeとCuGa5Se8に帰属される弱い回折ピークが見られた。CuSeは、Cu不足側の仕込み組成とすることでほぼ消失した一方、CuGa5Se8が不純物相として混在した。Cu/Ga=1.0,0.95,0.9の仕込み組成で得られた試料についてホール効果測定を行った結果、すべての試料がp型半導体であることを示した。Cu/(In+Ga)=1.0の仕込み組成で得られた試料では、CuSe不純物相の存在に起因すると思われる非常に高いキャリア濃度を示した。Cu/(In+Ga)=0.95の仕込み組成で得られた試料においてキャリア濃度は最低値(1.4x1018cm-3)を示し、比較的大きな移動度(61cm2V-1S-1)が得られた。一方、Cu/(In+Ga)=0.90まで仕込み組成をCu不足にすると、キャリア濃度の増加と、移動度の低下した。キャリア補償となるn型不純物相(CuGa5Se8)の存在にも関わらずキャリア濃度が増加したのは、Cu/(In+Ga)=0.95に比べて、過剰なCu空孔が形成したためと推察される。CuSbS2中のCu/Sb組成比がキャリア濃度へ及ぼす影響レアメタルを使用しないCuSbS2は、高い光吸収係数(>104cm-1)を持ち、P型半導体であることからCu(In,Ga)Se2(CIGS)太陽電池の代替材料として期待されている。しかし、CuSbS2の材料としての詳細な物性は未知な部分が多い。本研究では、これまでの研究で得られた単一相のCuSbS2の基礎研究をもとに、異相が混在しない範囲でCu/Sb比を組成変化したCuSbS2のバルク結晶を作製し、Cu/Sb比がCuSbS2の結晶へ及ぼす影響を調査した。カーボンコートした石英管中にCu(99.999%)、Sb(99.999%)、S(99.999%)の原料をCu/Sb比を変え、真空度~10-6Torrにおいて真空封入した。これを650ºCで24時間保持して原料を反応、均一に混合させ、1000ºCで再度24時間保持した後、炉内で冷却してバルク結晶を得た。XRDやラマン分光分析結果より、1.05/0.95~0.95/1.05組成では異相が混在していないことを確認した。ホール効果測定より、全ての試料はp型半導体であることを示した。密度汎関数理論(DFT)シミュレーションより、Cu-rich組成ではアクセプター欠陥であるSbサイトCu(CuSb)、Cu-poor組成ではCu空孔(VCu)がそれぞれ支配的であると考えられる。ホール効果測定よりCu/(Cu+Sb)比が増加するとともにキャリア濃度が増加したことから、CuSb欠陥がキャリア濃度の増減に影響すると考えられる。

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Author: castage

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