能代ロケット実験場における大型液体水素実証計画

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 宇宙科学研究所では、宇宙技術分野と産業用のエネルギー技術分野に共通する水素、特に液体水素の研究開発を様々な外部機関と積極的に連携しながら取り組んでいる。これは、ロケットの再使用化や高頻度運用におけるロケットそのものの機器性能向上や安全性向上に加え、ロケットの運用コストの更なる低減にもつながると同時に、大規模水素エネルギー社会の実現に積極的に貢献することにより、燃料や水素関連機器の需要を増大させることで、量産効果によるコスト低減という間接的なメリットの享受につながることも期待されている。

 例えば、宇宙輸送分野と民間産業用途のどちらにも共通して用いられる重要な水素用機器として、極低温用ハーメチックコネクタがある。これは、封止された液体水素容器内部に設置した各種センサへの通電に必要であるが、液体水素の使用環境、即ち、極低温・高圧環境において圧力および温度衝撃に対する信頼性が求められる。従来、このようなハーメチックコネクタは存在しなかったが、宇宙科学研究所と民間の共同研究開発により、仕様の確立と評価を行い、現在、開発品は再使用ロケット実験機に適用されて健全性が確認されている。また、安全性の評価に関しては、専用のポンプにより昇圧することで、90MPaの超高圧の液体水素を用いた、漏洩拡散や着火燃焼試験を行うことができる設備を能代ロケット試験場に設置し、液体水素を取り扱う設備の安全基準の策定や水素ステーション用機器の開発に寄与する試験を実施した(図1)。その他に、一般的にMRI等の超電導機器の冷却に使用されているヘリウムを安価で冷却性能に優れる水素に代替することを目指す研究開発にも参画しており、同じく能代ロケット試験場には、最大400Aの大電流を液体水素中に安全に通電することができ、最大7Tの磁場下における超電導材料・機器の臨界特性を取得することができる設備が設置され、各種試験が行われている。以上は一部の例であるが、このように宇宙科学研究所では、宇宙輸送分野の研究開発の遂行と同時に水素社会実現に貢献する研究開発を数多く行っている。

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Author: castage

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