ロケットエンジン用液体水素ターボポンプの玉軸受の非線形モデリングと 軸振動解析による回転非同期成分の考察*1

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 液体水素/液体酸素を推進薬としたロケットエンジンの心臓部であるターボポンプは,エンジンの小型化・高エネルギ密度化の要求に応えるために危険速度を超えて高速回転する必要があり,それに伴って様々な振動問題に直面してきた 1~7).Childs ら 3,4)はスペースシャトルメインエンジン(SSME)のターボポンプについてシールやタービンに働くロータダイナミック流体力(RD 流体力)を考慮し解 析を行った.上條らはインデューサにおける旋回キャビテーションの発生とその不安定化作用を明らかにし5),液体酸素ターボポンプの旋回キャビテーションの抑制を行った6).近年でも依然としてロケットエンジンの重大リスクの上位がターボポンプであるとの報告7)があり,ロータ設計や軸振動問題の研究が多く行われ,また,ターボポンプ開発の初期段階から軸振動低減を重視した形態の最適設計を検討する研究も進められている8).

 しかし,従来研究では地上でのフライト模擬試験結果(以下,実験データ)を定量的に予測し説明できるターボポンプの動的挙動解析技術はまだ十分に確立できていない.著者らは第 1図の LE-7A 液体水素ターボポンプ9)の有限要素モデルを構築し,振動解析から定常振動特性を調べ 10,11),さらにその非定常振動解析も行い,回転同期振動成分のみではあるが実験データを定量的に説明した12).しかしながら,実験データに含まれる回転同期成分以外の振動成分についてはほとんど説明できていない.これらの成分は高速領域では回転速度成分よりも大きいため12),その発生原因と発生メカニズムや特徴を明らかにし,それを考慮できる解析技術の開発が望まれている.これらの回転非同期成分の発生原因としては,玉軸受の非線形特性13),軸とケーシングの接触,支持剛性の異方性,ポンプ外からの間欠的外乱,インペラ部の半径方向スラスト,軸方向振動,ワイヤーメッシュダンパのヒステリシス減衰,内部減衰による自励振動,RD流体力の非線形性等などがある.

 本論文ではターボポンプを支える玉軸受の非線形特性を考慮したターボポンプロータの有限要素モデルを構築し,玉軸受の非線形特性がターボポンプ軸系の振動,特に回転非同期成分の発生に与える影響を調べる.その影響を明確にするために,玉軸受の非線形モデルおよびその線形化モデルをそれぞれロータモデルに組み込み,それらの解析結果を比較する.玉軸受の復元力のモデル化では,玉の遠心力を考慮する場合と無視する場合の 2 種類を検討する.

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Author: castage

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