Lactobacillus plantarum 由来菌体表層グリセルアルデヒド-3-リン酸 脱水素酵素の結晶構造解析:水銀結合メカニズムの解明

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 乳酸菌は様々な機能性を有する代表的な有用細菌であるが,その機能を担う因子の一つとして,グリセルアルデヒド-3-リン酸脱水素酵素(GAPDH)が挙げられる。GAPDH は,乳酸菌の菌体表層にも局在しており,ヒト大腸ムチン,血液型抗原,細胞外マトリックス成分,プラスミノーゲンなどへの付着性を示すことが報告されている。また,乳酸菌には水銀吸着能があること,その吸着に菌体表層タンパク質が関与していることが明らかになっていることから,GAPDH が水銀結合に関与しているのではないかと考えた。そこでLactobacillus plantarum subsp. plantarum JCM1149T のゲノムDNA 配列情報をもとにgap をPCR により増幅しpET28b ベクターにクローン化した。本プラスミドをEscherichia coli Rosetta2 (DE3) pLysS に導入し,N-末端ヒスチジンタグ融合GAPDH(rGAPDH)として発現させた。rGAPDH をコバルトカラムを用いて精製,濃縮後,NADと混合し,結晶化を試みたところ,約0.5 mm の良質な単結晶を作製することに成功した。本結晶を用いてX 線回折実験を行ったところ,最高分解能が1.85 Å であり,空間群は直方晶系であるC2221 であった。また,本結晶化条件で析出した単結晶に対して水銀をソーキングした後にX線回折実験を行ったところ,最高分解能2.13 Å のデータ測定に成功した。GAPDH の有する4 つのCys 残基(Cys101,Cys156, Cys160, Cys328)のうち,触媒に関わるCys156以外の3 つのCys 残基がHg2+ の結合に関与することを明らかにした。興味深いことに,rGAPDH-Hg2+ 複合体ではNADの電子密度が全く観察されなかった。これは,rGAPDHのNAD結合部位にHg2+ が結合することによってNAD結合部位がHg2+ に占有され,NADがrGAPDH に結合できなくなることが原因であると考えられた。また,Hg2+ の結合様式はGAPDH のサブユニット間で異なっており,特にCys101のHg2+ 結合様式がA, D サブユニット間で異なることを明らかにした。

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Author: castage

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