RNAi 法を用いたGmMT1 の発現抑制がダイズの根粒・菌根における過酸化水素 の発生に及ぼす影響

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根粒菌とアーバスキュラー菌根菌(AM菌)が共生しているダイズ根のトランスクリプトーム解析により、両共生系において共通して発現上昇する遺伝子としてType1メタロチオネイン遺伝子(GmMT1)が見出された(Sakamoto et al. 2019 JPR)。メタロチオネインは金属イ オンの濃度調節や活性酸素種(ROS)の消去に関わるとされているが、共生系における役割は明らかにされていない。我々はGmMT1はROSを消去し根粒・菌根共生系を維持する役割を担っているという仮説を立て、その検証を行っている。その一環として本研究では、RNAi法を用いてGmMT1の発現抑制を行い、ダイズの根粒・菌根における過酸化水素(H2O2)の発生に及ぼす影響を調べた。  

 出芽させたダイズ実生(品種エンレイ)の下胚軸 に、 pLjUBQ1::GmMT1 -RNAi ベクターを導入したAgrobacterium rhizogenes MAFF210265 を接種して毛状 根形質転換体を作製した。これに根粒菌(B. diazoefciens USDA110)とAM菌(C.etunicatum)を接種後9週間栽培し た。採取した毛状根について、GmMT1発現量、根粒重と 菌根形成強度(Trouvelot法)および根粒・菌根における H2O2含有量(DAB染色強度法)を測定した。RNAiによってGmMT1発現量は、根粒では77.8%、毛状 根では79.5%抑制された。根粒重と菌根形成強度はとも にRNAiによって有意に低下した。また根粒のH2O2量は RNAiによって有意に増大したが、毛状根のH2O2量は有 意な増大を示さなかった。しかし菌根部分当たりの毛状 根のH2O2量を算出したところ、その値は有意な増大を示 した。以上の結果からGmMT1はダイズの根粒と菌根に おけるROSの消去に関与していることが示唆された。

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Author: castage

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