低原子価コバルト触媒による C–H 結合活性化反応の反応機構研究

 吉戒らの Nanyang Technological University (NTU)グループでは、ロジウム・ルテニウム等の 4d 遷 移金属に比べて地殻含有量の高いコバルトを触媒とする炭素−水素(C–H)結合活性化反応の開発に取り組んでおり、これまでにコバルト(II)塩、ホスフィン配位子、および有機マグネシウム反応剤から調製される低原子価コバルト種を用いた種々の芳香族 C–H 結合変換反応を報告している [1]。NTU グループではコバルト触媒の反応効率および選択性の向上に資するべく反応機構研究を行っているが、コバルト触媒活性種は一般に常磁性でありかつ酸素、水分、熱に対して不安定であるため、NMR などの一般的分析手法の適用が困難である。一方、高谷・中村らの京大グループは鉄錯体触媒を用いるクロスカップリング反応における常磁性鉄化学種の構造・電子状態を、SPring8 における放射光を用いた X 線吸収微細構造解析(XAFS; X-ray Absorption Fine Structure)により明らかにする中で、常磁性化学種を含む均一系溶液触媒反応の解析手法・技術を蓄積している[2]。 以上の背景から、本研究では NTU・京大グループが共同で低原子価コバルト化学種の構造・電子状態を明らかにすることを目的に、コバルト(II)塩、配位子、有機マグネシウム反応剤の組み合わせからなる触媒系のうち、芳香族イミンのアルキンまたはスチレンへの付加反応を促進するもの (図1)[3,4]について触媒活性種の同定を試みるべく XAFS 測定実験を行った。

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Author: castage

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