活性酸素種と水素療法

水素ガス吸入療法が厚生労働省の先進医療Bとして2016年に承認された(jRCT 登録ID 番号:jRCTs031180352).これは心停止した患者の蘇生後に2%の水素ガスを吸入させることで,特に脳機能の回復を目指す治療法である.この療法は,脳の虚血―再灌流時に生成する活性酸素種を水素によって除去することで脳組織のダメージを極力抑え,脳機能の回復につなげるというものである.

今日,活性酸素種が種々の疾患に関与することが明らかになってきている.活性酸素種による障害は一般に「酸化ストレス」と言われる.酸化ストレスの定義は「生体の酸化反応と抗酸化反応のバランスが崩れ,前者に傾いた状態」とされている.例外はあるが,酸化反応が優位になった状態は基本的に生体にとっては好ましくない状態と言える.我々が生きていくために酸素は必須の成分であり,生理学的に酸素を使う中で活性酸素種は発生する.他方,水素療法は2007年にOhsawaらによって開発されたこれまでの医薬品による療法とは異なった概念を持つ療法で,特定の活性酸素種除去により,さまざまな疾病の予防や治療に役立つことが期待されている.本稿では活性酸素種と水素療法について概説する.

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Author: castage

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